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中国製コピーエンジン |
話には聞いていました。 中国製コピーエンジン。 カブ、モンキー、ゴリラなどに載っているエンジンの模造品です。 ゴリラのエンジン乗せ買えということで、とあるバイク屋さんから依頼を受けたのですが。私は当然50ccのノーマルエンジンの乗せ替えだなあ、と思いまして、 (ちょっと高いかなあ・・・と思いつつ) 「同じ業者さんだし、10000円でいいですよ」 と軽い気持ちで引き受けました。 すると、 「いやいや、15000円でお願いします」 値切られたことはいっぱいありますが、もっと出すから、というのは初めてでした。 この時点でおかしいとちょっと思ったのですが、 その予想は残念ながら的中してしまいました。 中国製のコピーエンジン。 しかも、排気量124ccです。 乗せかえる前から、いろいろな問題点がすぐに分かります。 キャブがフレームに干渉する。 スロットルワイヤーが届かない。 クラッチのラックの取り出し口がまったく違う。 それに合わせて当然クラッチワイヤーの長さがぜんぜん違う。 マフラーがノーマルでは抜けが悪すぎてセッティングがでない。 ノーマルマフラーがついたとしても、クラッチワイヤーと干渉する。 タンクが取り付けできない(キャブに干渉する) なるほど、だから店主が言った値段より、高い値段を言ってきたのか・・・ 「まともには絶対につきませんよ」 とは言ったものの、 「大谷さんにおまかせしますよ」 だって、、、、 (そもそもこいつは違法改造です!) しかしながら、個人的に中国製のコピーエンジンがどこまでなものなのか、ちょっと興味もあったのも事実です。やるだけやってみて、無理なことが分かってくれたら、依頼主のとあるバイク屋さんも、そのお客さんも分かってもらえるだろうと、着工してみることにしました。 (この時点で夜の8時) 予想通りの展開を写真を交えてどうぞ・・・ 付属しているキャブ(これはミクニ製でした)のヘッドがフレームに干渉して、写真のようにインマニに取り付けできません。もちろんノーマルのアクセルワイヤーも使えません。 うまいことついたとしても、ガソリンコックと干渉してしまいます。 インマニをタンクと干渉しないところまで長くして、今度はニーグリップがまったくできません。 また、 付属されていたパワーフィルターが完全に車体外側に露出してしまうため、雨天時に走行できません。 右がノーマルエンジンのクラッチラックの取り出し口。 左がコピーエンジンの取り出し口。 うまいこと乗っかったら、こんな感じになるんでしょう。 そして、すべの問題点をクリアーした場合でも、最大の問題点がでてきます。 ノーマルエンジンのマウントは後方の2箇所です。 ところが、コピーエンジンは124ccでそれなりの重さがありますし、当然振動も大きいでしょう。それを後方2箇所のみでマウントしていれば、そのうちフレームが割れるか、エンジン本体が割れるか、どちらかです。 写真を見ると、シリンダー上部にマウント用の穴が開いているのがわかります。 もともとどんなオートバイに乗せられているエンジンなのかは分かりませんが、このエンジンは3箇所マウントですね。 結局ここまでの問題点を全て写真に収めて、お客さんが納得してもらえるように、一応エンジンだけは載せ変えてみました。 (この時点で9時半) さて、今度はノーマルエンジンに戻します。 終わったのが、11時。 乗せ変え自体はとっても簡単です。エンジンも軽いので力もぜんぜんいりません。 モンキー、ゴリラのオーナーががんがん改造できるのも、この軽さ!が大きいのでしょう。 カブ系のエンジンはとてもよくできています。 莫大なお金と時間をかけて緻密に計算されて出来上がったメーカー製のオートバイは、暑い日も寒い日も、雨の日も、風の日も、ライダーのさまざまの操縦の癖まで、全てに寛容で、壊れずに走ってくれます。 オートバイはバランスの乗り物です。 一部分だけを交換しては、必ずどこかにひずみが出てきます。 使用方法を限定して、(たとえばサーキットのみとか)使用するのであれば、その使用環境に合わせて、このバランスを崩してもいいでしょう。結果的にその使用環境でベストバランスであれば良いのです。 ちなみに、ゴリラにこのコピーエンジンをがんばって載せようと思ったら・・・ 50万ぐらいはかかるのでは・・・ ワンオフで作らなければならないものが多いですからね。 話を聞いたらお客さんの予算は2万円だそうです。 うーん、無理! ああ、10000円は取れないし、5000円くらいはもらいたい。 でも、結局依頼を断るんだからか、うーん、悩む。 エンジン乗せ変えているんだし、3000円くらいもらってもいいですねえ。 きょうは愚痴っぽい感じで。 では! |
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