だいぶ前の話になるのですが、
NHKのドキュメンタリー番組で
アメリカの国立自然公園が
汚染されたと言う話をしていました。
広大な湿地帯が広がる美しい国立公園で、
野鳥や植物の宝庫でした。
そんな国立公園が近代化の流れの中で
どんどん埋め立てが進み、工場が建ちました。
排水に対する基準も今ほど厳しくなく、
(ま、アメリカは京都議定書にもサインしていませんね)
(本質は今も変わっていないようです)
あっという間に広大な湿地帯は姿を変えて、
下流の湿地帯で汚染が進みました。
まず小魚が汚染され、
それを食べる野鳥が汚染され、
鳥を襲う狐などの小動物が汚染されていきました。
人間が飼う家畜たちも同様に汚染されてしまい、
最終的に人間に「ツケ」が廻ってきます。
汚染される過程のなかで、
ちょっと名前は忘れてしまいましたが、
水銀のような汚染物質がどんどん濃縮されていくんですね。
1羽の野鳥が100匹小魚を食べると
100匹分の汚染物質が1羽の鳥に蓄積されます。
こんどは、狐などが10羽の鳥を食べると
10羽分の汚染物質が1匹の狐に蓄積されます。
その狐を食べた人間は
結果的に小魚10000匹に相当する汚染物質を食べることになります。
さて、ここから本題です。
先日の日記にも書いた盗難車と思しき車両。
結局警察は「事件性がない」ということで動いてくれないようで、
らちがあかない。
出品者とは連絡が取れない。
時間ばかりかかって、
ちっとも問題解決に向かって進まないので、
結局
「フレームナンバー削れ」
「書類あり」
ということでヤフオクに流すことにしたそうです。
購入金額とほぼ同額で売れたそうです。
損したのはその車両のために購入したハンドルやタイヤぐらい。
2万くらいでしょうか?
勉強代です。
ヤフオクで購入したオートバイで、
程度の良いものは購入者が乗り続けますので、
ヤフオクの世界から消えます。
しかし、
いわく付き車や程度の悪い車両は
今回のように再びヤフオクに登場してきます。
こうして、
どんどん悪い車両ばかりがヤフオクに濃縮されているような気がします。
なんだかちょっと先の話と似ていませんか?
最近限度を超えて程度の悪いものが多く入庫してきています。
5万円で購入したオートバイの修理代が10万越えます。
合計15万使って「何とか乗れる」レベルになったとしても
その金額があれば
総合的にもっと程度の良いオートバイを
普通に買えます。
圧縮がないということで
エンジンをヤフオクで落とし、
乗せ替えを依頼されたお客様がいますが、
結局購入したエンジンの圧縮もなく
(バルブシートがカーボンで削れてました)
エンジン・ニコイチです。
分解作業料2台分ですが、
なんだかお客様もかわいそうなので、
2台分はとれません。
もうちょっと足して新品のヘッドを購入することも可能ですが、
ま、うちは工賃安いですからね。。。。
大手のバイク屋さんにだしたら、
黙って普通に2台分請求されます。
ヤフオクで売るのには、
やはりそれなりの理由があって、
ヤフオクでしか売れないからです。
私の今までのヤフオク車の整備経験からすると、
1割くらいは、
まぁましな程度のものが出回っていると思われます。
ブローカーさんや中間業者さんは、一般のエンドユーザーさんと直接つながっていなかったわけですが、ヤフオクが台頭してからは、直接エンドユーザーに(業者間の取引より高く)売れるようになったのです。
本来はユーザーさんの目にう触れることのない整備前の車両です。
大手のバイク屋で売っている車両が高いのは、
手間と時間をかけしっかり整備して、
高い家賃や人件費をかけ販売しているからです。
小麦粉1キロで100個のパンが作れるとしても
小麦粉1キロはパン100個分の値段はつきません。
手間と時間が
商品の価値を生むのです。
安いと思って飛びついたヤフオク車も
後にかかる整備代を考えたら、
結局同じだけの金額を使っていることになります。
「当たり」の車両を買った人は問題ありません。
しかしそれは1割にも満たない人たちです。
きちっと整備して販売している出品者もいます!!
しかし、
その「当たり」を期待して「安く」買うのは
ギャンブルだとおもいます。
「現車確認」は絶対!!行ってくださいね。
オートバイは
「見て」
「触って」
「お店の人と話して」
「後のメンテナンスを加味して」
買うものだと私は思います。
良い物は壊れません。
長く使えます。
結果的に「得」じゃないでしょうか
最近ちょっと度を越えてひどい車両が
立て続けに入庫していますので、
反発を恐れずに書きました。。。。
痛い目にあうのは私ではなく
一生懸命働いて
苦労の末にやっと貯めたお金で
オートバイを購入したユーザーさんたちです。
濃縮された汚染物質を最終的に人間が食べるように・・・
最近は「わび」「さび」よりも
何でもかんでも「自己責任」の時代のようです。
楽しいバイクライフをサポートするのがバイク屋の勤めです。
少しでも力になれるようにと、そんな気持ちです。
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