24時間で1つの事件を解決するアメリカのテレビドラマ「24」では
ありませんが、さらにプラス2時間残業して、
ザ・バイクマンの場合は「26」です。
1台の修理にかかった時間です。
内容はこちら↓
エギゾーストパイプ部のスタットボルト折れの修理です。
この2本のボルトを抜きとるのにかかった時間です。
ボルトがシリンダーヘッド内にうまっていて
バイスプライヤーなどで掴むところがありません・・・
こういった場合、
溶接でボルトを少しづつ肉盛りしていって掴める部分を
作っていくのですが、
何回やってもまた根元で折れてしまいました。
内部で相当固着しているか、
鉄のボルトにアルミのシリンダーヘッドが噛みこんでいるんでしょう。
溶接して肉盛りしていますので、
ボルト自体は相当な高温になっています。
それでも外れない。。。。
何回も肉盛り溶接しているうちに
アルミのシリンダー部分も欠損していきます。
ムムム・・・・
こうこれ以上溶接技は使えません。
仕方なくドリルでもんで、
ヘリサート加工
溶接のしすぎで欠損した部分は
アルミの耐熱パテで補修しました。
片方のねじ山修正はできたのですが、
問題はもう一方のねじ山。
雌ねじの欠損があまりにも激しいため
大きな穴をあけることに。
さて、
こまった・・・・・
どうしよう。。。。
穴が大きすぎてヘリサートもかけれない。
ちなみにこの時点で夜中の3時。
うーん、明日出荷予定だけど
無理です。すいません。
いったん帰宅。
翌日お客様とご相談。
通常このような場合、
エンジンを分解し、
シリンダーヘッド単品にして、
バルブシールなど、
ゴム製品を全部とります。
アルゴン溶接で欠損した穴の部分に肉盛りして、
新たに雌ねじを切り直す。
とするのが最も強度が出て確実ではありますが、
エンジンを分解していきますので、
それなりの金額になります。
あまり修理代が出せないとのご要望で
この方法はキャンセル。
あまりやったことはありませんが、
アルミのパテで穴を埋めてねじを切りなおすことにしました。
新たに耐熱のアルミパテを購入。
2液を練り合わせて完全に硬化させた後、
ドリルで穴開け、ねじの切り直しができるか
パテだけで実験してみました。
何とかなりそうです。
ねじを切りなおしました
アルゴン溶接のような強度は出ませんが、
何とかエキパイを止めておくことはできました。
乾燥硬化させた後、焼き入れをして強度を上げました。
本当はこのアルミパテ部分にヘリサートを入れる予定でしたが、
最悪このねじ山がだめになった時に
ヘリサートを打ち込める保険を残しておきました。
ここまでこの1台のバイクにかかった時間は26時間。
失敗するとヘッド交換になりかねませんから、
相当慎重に作業を進めます。
寿命が縮みます。
この整備をしている間にも
実はもう一台並行して、
折れたスタットボルトの抜き取り作業をしています。
ま、こちらの抜き取りは比較的簡単にできて、
マフラーの脱着も合わせて30分くらいでできました。
同じ折れたボルトの抜き取りといっても
かたや30分。
かたや26時間。
ものすごい時間の差ですが、
たった1本のボルトと取るだけでも
これだけ難易度が違います。
最近エキパイ部のスタットボルトが折れた!!という
問い合わせが非常に多いです。 おそらくマフラーの交換を自分で行う際に折ってしまうのでしょう。
一番の原因はトルク感覚のなさ。
M6のボルトの締め付けトルクはせいぜい12N・mくらいです。
30N・mも力をかければ簡単にポッキリ逝きます。
緩める時も、固着しているときは無理に回すと
簡単に折れてしまします。
また、
手持ちの工具が少なく、
無理な角度でボルトを回したり、
ホームセンターで売っている安いセット工具などは
精度も高くありませんから、逆にバイクを壊します。
無理だなぁ、と思ったら、
大ごとになる前に無理はせず、
お近くのバイク屋さんで作業してもらいましょう!!
そのほうが結果的に安いです。
「24」のジャックよりも2時間多く働いた店主でした。
ではでは
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