理化学研究所の副センター長の笹井さんが先日自殺されました。
原因はもちろん一連のスタップ細胞事件なわけですが、
笹井さんの自殺は日本の再生医療を大きく後退させたばかりでなく、
今後の若い研究者たちに多大な悪影響を及ぼすことになると、
私は強く思います。
また、数週間前、ユニットリーダーの小保方さんが
某テレビ局の取材陣に付け回され、 女子トイレに逃げこんだが、女性記者が張り付いて、 半ば監禁状態となり、何とか逃げだして エスカレーターに乗りましたが、前後を記者に挟まれ、 逃げようとしたところ、転んで2週間の怪我を追いました。
小保方さんも笹井さんも、犯罪者ではありません。
ただ論文を出しただけです。
科学的に完璧な論文はありません。 未知なものであるから研究し論文を出すわけです。
数枚の写真を取り違えたとか より見やすい実験結果のデータを切り貼りしたからと言って、 論文の趣旨が変わるものではありませんし、 科学的に立証されるまでには時間がかかって当然です。
ガリレオが地動説を唱えてから、 実験結果として立証されるまで、 100年かかっています。
論文はあくまで論文であり、 「こう言うデータから、こう言う結果が予測される」と 学会に善意で発表したものにすぎません。
スタップ細胞発見の記者会見の時、 散々持ち上げておいて、 ネット上で再現性のなさなどが指摘され始めると、 一転して攻撃側に回り、 徹底的に叩きました。
その結果、 小保方さんに2週間の怪我をさせ、 笹井さんを自殺に追い込んだ。
犯罪者でもなんでもない一個人を 大資本の大マスコミが 6か月間にわたって徹底的に叩くのです。 しかも、スタップ細胞に関しては まだ意見の対立があるのに、 小保方さんや笹井さん側に立つ報道と比べると、 もう、圧倒的に批判的な報道が多いわけです。
①学説も諸説対立があり、スタップ細胞の研究は始まったばかり ②論文にたとえミスがあったとしても 刑法上の犯罪になんら抵触していない。
それなに、1個人を集団で叩くのです。 これは完全ないじめ以外の何物でもありません。
人を殴ったり蹴ったりして死に追いやるのと、 精神的に追い詰めて死に追いやるのと、 何が違うというのでしょうか?
ジャーナリズムは 弱きを助け、強きを挫くものではなかったのか? と強く思います。
暴力団まがいの取材を行ったテレビ局は 今後6か月間にわたり、 小保方さんや笹井さんをはじめ、 スタップ細胞擁護論者だけを集め特集を作り、 また、自社の行った取材方法を徹底的に自ら批判し、 スタップ細胞研究者を擁護する報道を続ける必要があります。
そうでないと、バランスが取れません。
また、 このバランスを取らないようでは、 若い研究者はオシッコちびってしまって 論文を出さなくなってしまいます。 ちょっと間違えただけで、 暴力団まがいの取材陣に囲まれ 怪我を負わされるばかりでなく、 精神的に徹底的に追い詰められ 自殺までさせられる。 こんな状況では 冒険的なことをする若者は1人もいなくなりますし、 その影響は科学の世界だけでなく、 あらゆる日本社会に波及していきます。 こんなことが起こる世の中では 非常に委縮した暗い世の中になってしまいます。
一方的な意見の報道を継続して行って 国民に先入観を与えるのがマスコミの仕事ではないはずで、 意見の対立があるときは、平等に同じ質・量の報道をするべきです。 ジャーナリズムは本来、弱きを助け、強きを挫くというのが、 本来の精神であるはずですから、 取材を行ったマスコミ各位に少しでも良心の呵責があるのなら、 今までと真逆の報道を6か月間継続して つづけてほしいものです。
それが、自殺された笹井さんの何よりの追悼だと思います。
笹井さんがなくなられたことは 日本にとって大変大きな損失です。
ご冥福をお祈りいたします。
おしまい。 |