先日あるオートバイの修理依頼がありました。
VT250Fインテグラという1985年のバイクです。
長期放置していたとの話を聞いていましたが、
引き上げにお伺いして話を聞くと、
なんと、なんと、17年動かしていなかったそうです。
さらに驚いたことに、
20年前に新車で購入したそうです。
走行距離は2000キロ。
ホンマモンの新車です。
購入後3年ほど乗って、
その後17年間カバーを掛けて屋外保管。
バイクに近づいただけでガソリンの腐った臭いがプンプンします。
ついこの間7年眠っていたスティード600を復活させたのですが、
7年なんてまだまだ!
こっちは17年間眠っています!!
早速お店に持って帰って、
詳細を確認。
「タンクの中はサビサビだろうなあ・・・」と思いながら、
おもむろにタンクキャップを開けようとしたら、
キーシリンダーが全く動きません。。。。
完全に固着しています。
サビとガソリンのワニスで動かなくなってしまったのでしょう。
ガソリンのワニスを溶かす「キャブレター・クリーナー」という溶剤をカギ穴にちょっとづつスプレーしながらエアガンでプシューっと吹き付けます。
カギ自体は真鍮でできていますので、あんまり力いっぱいまわそうとするとポキッと折れちゃいますのです、慎重にこの作業を繰り返します。
ひたすら繰り返すこと30分。
やっとタンクキャップが開きました。
中身を見てビックリ!!
想像をはるかに超えるサビが・・・
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サビの森??と化したタンク内
すごいです。 |
抜き取ったガソリン
オイルではありません(念のため) |
タンクキャップを開けた瞬間、
気を失いそうな猛烈な異臭が・・・・
「は、は、はながもげる!!!!」(>_<)...
これくらいサビが進んだタンクは、とサビ取りするとタンクに穴が開きます。
しかも取れきれない場合がほとんどで、ウレタンコーティングするしかありません。。。
そのほかの整備予定は以下の通り
プラグ 交換
キャブレターO/H
エンジンオイル 交換
オイルエレメント 交換
クーラント 交換
エアクリーナー 交換
バッテリー 交換
Fフォークオイルシール 交換
Fフォークインナーチューブ左右 交換
Fフォークオイル 交換
Fブレーキキャリパ O/H
Fブレーキマスターシリンダー O/H
Fブレーキパッド 交換
Fタイヤ 交換
Rタイヤ 交換
Rブレーキシュー 交換
クラッチフルード X
ドライブチェーン 交換
完全にレストアですね。
修理代・パーツ代・新たに加入する自賠責(2年)
合計25万円ほど・・・
バイクが買えます。
お見積もりを作って、お客様にご相談。
「修理代で25万ほどかかりそうなのですが・・・
着工してよろしいでしょうか?」(私)
「そのくらいは予想していました、よろしくお願いします!」
20年前に新車で買ったVT250Fインテグラ。
乗らなかった期間が長かったとはいえ、
20年もの時間を共にすごした愛着のあるバイク。
ちょっと安い新車も買えそうな修理代を出してでも、
このバイクを復活させたい!
そんな思いがお客様からひしひしと伝わってきます。
VT250シリーズの王様ともいえるインテグラです。
手放せば、もう2度と手に入らないでしょう。
私自身も大好きな好きな車種の1つです。
「よっしゃ!細腕一本、いっちょ完全復活させますよ!」
最近は壊れたらポイッと捨ててしまう方が多いですが、
それは、簡単に手に入ってしうからではないでしょうか? 苦労して手に入れたものは愛着もわきやすく、大切に扱います
自転車なんかは8000円も出せば手に入りますから、
タイヤ交換やパンク修理を3回も繰り返せば新車が買えてしまいます。
捨てられたものはリサイクルできるものを除いてゴミになります。
オートバイは自転車とは比べ物にならないほど大量のゴミが出てしまいます。
エコの観点からも、簡単に捨ててしまうのはどうかと思いますしね。
お客様と話していて、
このバイクに対する熱い思いが伝わってきます。
そして、私のできることはバイクの修理です。
全力で整備させていただきます。
お時間はかかると思いますが、頑張ります。
バイクは大切に!
では!
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