XS250と言うバイクご存知でしょうか?
写真探そうとしましたが、なかなかネット上にも写真がありません。
1982年製のオートバイです。
エンジンがかからないと言うことで
修理に入ってきたのですが、
診てみると、どうも点火していないようです。
点火方式の違いによって
点検方法も変わってきますが、
メインスイッチをオンにして、
イグニッションコイルに12Vが来ているので、
バッテリー点火ですね。
調べてみると、フルトランジスタ点火です。
さて、ここでちょっとお勉強です。
何でプラグに火花が飛ぶんでしょう?
これは、電気の性質をである
「自己誘導作用」と
「相互誘導作用」を
利用しています。
コイルに磁界の変化を与えたとき、
コイルに発生する電力は
磁界が乱れたことによる反作用として、
磁界の状態を一定に保とうとします。
(レンツの法則)
つまり、コイルに電気を流したときは
電気が流れないように起電力が働き
電気を切ったときは、逆に流れる方向に起電力が発生します。
(通常電気を流したときよりも、
切ったときの方が大きな起電力が発生します)
これを、コイルの自己誘導作用と言います。
次に、
2つのコイルを同一線上に巻きつけ、
1方のコイルに電流を流したり切ったりすると、
もう一方のコイルに起電力が発生します。
これが「相互誘導作用」です。
この2つの作用を利用して、プラグに高電圧を送っています。
フルトランジスタ点火の場合、
メインスイッチを入れると、イグニッションコイルの1次側にバッテリー電圧がかかります。この電流を一瞬切ることによって、「自己誘導作用」で起電力が発生し、ついで、「相互誘導作用」によって2次コイルに高電圧が発生し、プラグに火が飛びます。
このスイッチングを電気的に行っているのが、
トランジスタなんですね。
(ポイント式の古いバイクは
このスイッチングを機械的に行っています)
さて、
点火していないXS250。
並列2気筒のオートバイで、
イグニッションコイルは2つあります。
メインスイッチを入れるとそれぞれのイグニッションコイル1次側に電圧がかかりますから、ここまではまず問題なし。
確認すると左右どちらのプラグも火が飛びません。
2つあるイグニッションコイルが全く同時に逝ってしまうと言うことは、あまり考えられませんので、原因はI/G(イグニッションコイル)よりも前にありそうです。
つまり、「イグナイター」か「ピックアップコイル」のどちらかです。
ピックアップコイルに断線もなく抵抗値も規定内でした。
残るパーツはイグナイター。。。
(各パーツの配線間の断線やレアショートも合わせて確認→これはオッケーでした)
イグナイターの値段をヤマハに問い合わせると、
ななな、なんと
58000円!!!!です。
ちょっと高すぎです。
既にXS250の時価総額を超えています。
古い車種なので、パーツが出るだけでもラッキーですが、
パーツには保管料と言う名文句で毎年値上げが行われています。
旧車お乗りの方は注意です。
だいたいですが、
現行車のイグナイターの値段は
せいぜい2〜3万円くらいです。
値段を聞いたときは正直耳を疑いました。
あまりにも高すぎる。
診断ミスはないとは思いますが、、、、
もし間違ったら58000円は自腹です。
相当慎重に全ての工程を再確認。
注文するのもびびる値段です。
現状をお客様に相談し、
修理続行か否かを確認すると、
「おねがいします」と言う返事が・・・
イグナイターを注文!!
パーツが届いて、
恐る恐るイグナイターを替えて点火チェック。
あっけなく点火!!
ほっと一安心でした(^^)
PS
ぶっ壊れているイグナイターをばらしてみました。
こんな感じ↓
どうみても58000円には見えません。
安いパソコンだって買えちゃう値段ですよ!!
インテルも入っていないこんな回路で58000円。
ちょっとぼったくりすぎじゃないですかねぇ。
スイッチングを行うトランジスタの回路だけなら
自分でも作れそうですが、
進角をどうするか・・・
この問題さえ解決できれば
イグナイター自作も可能です。
秋葉原で電気パーツ買ってきてえっちらおっちら作れば
きっと5000円くらいでできそうです。
お弁当箱くらいに大きなイグナイターになっちゃうのかなあ・・・
58000円よりましでしょう?
では!
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