前回のファルツァZのつづきです。
出荷前に１０キロほどテストランして
問題なし。
出荷して翌日。
用賀で止まったと、４度目の引上げ・・・・・
症状は前回と一緒です。
テストランで１０キロ。
ザ・バイクマンからお客様宅まで１０キロ
お客様宅から用賀まで３５キロ
約５５キロほど走って同じ症状がでました。。。。
ムムムム・・・・お手上げ！！
とは言えず。
さっそく工場に帰ってきてから深夜作業。
プーリーケースを開けてみると
高速域の状態で変速固定されている。
一度ばらして組み直し、Sマチックの初期化をすると
また症状が出なくなりました。
さんざん手を尽くしてもう手がありません。
ネットでしこたま検索しても
同様の症状は一件もなし。
少ない人脈を使い、大手のバイク屋さんの各工場長に相談。
しかし、そんな事例は一件もなし。
ホンダのサービスに直接電話。
ホンダにも同じ症状の事象は上がってきていませんでした。
ホンダのサービスマンと長々喋って、
一番怪しいレシオモーターとレシオセンサーを交換する
ということで様子を見る、という玉虫色の結論。
結局誰もちゃんとした原因は分からない。
ばぶー。
お客様に今までの経緯をご報告して
レシオモーターとレシオセンサーを交換してみることになりました。
翌日新品のレシオモーターとレシオセンサーが届きましたので、
早速組みつけてみます。
新品のレシオモーターが来ましたので、
古いレシオモーターを分解してみます。
すると、相当ブラシが磨耗していました。
コンミュテーターもガリガリです。
これではしっかり導通しない可能性が高い。
これなのかなぁ・・・・
組み付けてテストラン。
万が一に備えて友人の海老名のバイク屋さん
「ガレージファン」さんに向かって走ります。
ファンさんの前を通過。
ゲゲ、シャッター閉まってるわ・・・
もっと遠くまで行こうかと思いましたが、
２４６へ出て一旦バイクマンへ向かって走ります。
今のところ問題なし。しっかり変速している。
ところが、座間の２輪館あたりでエンジンに変調が・・・
信号待ちでエンスト。
マジか！！
メインスタンドを立ててエンジン始動はできますが、
リアタイヤが地面に付いた瞬間エンジンストップ・・・・・
同じ症状が再発！！
沈没。
２時間半フォルツァを押して帰ってきました。
筋肉痛必至。。。。
汗だくになりながら工場で再度分解。
組みなおすとまた普通になってしまいました。
まったくもってお手上げ状態。
レシオコントロールユニットからレシオモーターまでの配線も
何回もチェックしていますが、
今までチェックしたことを再度洗い直し。
おかしいところはやはりない。
なんなんだー！！
ドライブプーリーアッシーを外して、
リダクションギアを指で回して目視点検。
ギヤの欠けや偏磨耗もありません。
くるくるスムーズに動いています。
レシオセンサーにつながるギアも問題なく動いている。
ためしにレシオセンサーにつながる部分を指で押しながら
リダクションギアをクルクル回してみます。
うん、ちゃんとセンサーを動かす方向に力がかかって動いている。
グルグルグルグルまわし続けながら考えます。
グルグルグルグル
グルグルグルグル
グルグルグルグル
グルグルグルグル
んっ！
何か違和感
ときどき動きが渋い感じがする。
ということで
リダクションギアーまで分解
その際冷却水も抜けます。
リダクションギアーカバーを取る
うーん、別に普通かぁ・・・
ぐりぐりとシャフトを動かしてみると
すると
あらら
シャフトが抜けちゃう！！
シャフトにはロックピンが刺さっているはずで
抜けるわけがありません。
なんと！！
ロックピンが折れている！！
ガーン、原因はこれだ！！
３つに分断されたロックピン
ロックピンが引っかかっている間は
リダクションギアが正常に動きますが、
時々空回りする。
シャフト自体はしっかりと動いていますので、
レシオセンサーもレシオコントロールユニットも変速した気になっていた！！
だから今まで一回もエラー信号が
レシオコントロールユニットに残らなかったわけです。
本当の変速不良の原因は
このロックピンが衰損して折れたことで
シャフトが空回りしてドライブプーリーに
力が掛からなかったことです。
ロックピンが引っかかっている間のみ
正常に変速していたに過ぎません。
改めて１３００００キロ越えは伊達じゃないと実感。
まさに思いもよらぬ結果でした。
しかし、全ての因果関係がつながりました。
原因と結果がつながった。
診断やパーツの交換などで
１０回以上はメットインケースアッシーを脱着。
テストランやら引上げやら
もう何時間掛かったかわかりません。
明日、リダクションギアが届きますので、
明日ようやく修理完了となる予定。
長い戦いです。
２時間半ビックスクーターを押して歩いて
文字通り満身創痍・・・・
体ボロボロです。
原因がはっきり見えたときは
うれしくてうれしくて小躍りしましよ、ほんと。
今回は原因がはっきりしましたので、
ちゃんと工賃もらおうかなぁ・・・
でもさすがに４回も引き上げているので、
なかなか請求しずらいです。
今回の一件で交換したパーツは
以下の通り
Vベルト ７９００円
ドライブプーリーアッシー ５１０００円
ドライブフェイス ３１５０円
ストッパー ２３５円
レシオモーター ２１６００円
レシオセンサー ９２５０円
リダクションギアー７９５０円
ウォーターポンプOリング ７７０円
冷却水 ５００円
パーツ代のみの合計１０２３５５円（税抜き）
Sマチック変速に関わる部分はほぼ交換。
この中で交換しなくても良かったのではないかと
思われるものはレシオセンサーのみ
あとは距離相応に磨耗やガタがあったので、
結論からすると交換してよかったわけですが、
結果的に請求した工賃は４９００円
１回目の引上げ３０００円。
合計７９００円のみ。。。。
時間を考えたら大赤字ですが、
全ては勉強代です。
何より、お客様に大変ご心労をおかけして
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
腕の良い整備士なら１発で診断できていたかもしれません。
心底反省です。
１回目の引上げの時に原因をつかめれば
ちゃんと工賃を請求できますが、
４回も引き上げたので、
なかなかそうもいきません。
どこまでばらして確認すべきか？
そのサジ加減。
これが最大の問題です。
距離と程度と使用条件とお客様のご要望と
さまざまな要素から判断しなくてはいけません。
だだばらして組むだけが整備士ではありません。
ま、しかし、何年やっても新しい発見が目白押しです。
今回は相当いっぱい引き出しが出来ました。
今後の整備に役立ってくれることでしょう！！
苦労した分、技術も付きます。
だから整備士は辞めれません。
ささ、止まっている整備が山ほどありますので、
今日は午前様決定です！！
いやー、相変わらず仕事が遅くてスイマセン・・・・
おしまい。
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