さてさて、気が付くともう11月。
10月もあっという間に終わってしまって、
ザ・バイクマン日記も先月は3回しか更新できませんでした。
日記のネタもキャンプの話ばかりで、
ちっともバイクマン日記ではありませんねぇ。。。。
と言うわけで、今回は思いっきりバイクのお話です。
CRM250ARのARバルブ作動不良の原因を探ります。
①始動不良
②高回転時のパワーがどうもモヤモヤしている
という症状でザ・バイクマンに入院してきたCRM250AR。
まず①から
これは簡単。
エアクリーナーが湿式のスポンジタイプで
経年劣化でスポンジが崩れ、
砕けたスポンジがスローエアージェット、メインエアージェットを
塞いでおりました。
キャブのO/Hをして
エアークリーナーを交換して、
無事にエンジン始動。
さて、問題は②です。
アクセルを吹かしても、
ARバルブを動かすサーボモーターが
動いておりません。
ARバルブというのは、まホンダだけの呼び方で、
簡単に言うと、排気デバイスです。
2ストロークのエンジンは
4ストロークのようにバルブがありません。
同じレシプロエンジンですので
吸気・圧縮・膨張・排気という
4つの工程を繰り返して、動いているわけですが、
2ストのエンジンはピストンの上下運動を利用して、
シリンダー側面の穴(ポート)から吸気したり、
排気したりを行なっております。
ピストンが上下している過程で、
吸気ポートが空いているけど、排気ポートも空いている
吸気しながら、排気をしている、
いわゆるオーバーラップの時間が出てきます。
(4ストにもオーバーラップはあります)
低回転時はオーパーラップが短いほうがパワーが出ます。
高回転時はオーバーラップが長いほうがパワーが出ます。
そこで、排気ポートの面積を可変させて、
低回転でオーバーラップを短く、
高回転でオーバーラップを長く
というように変化させ、
低回転から高回転まで、スムーズなパワー特性を
得られるようにしているのが排気デバイスのお仕事。
このような排気デバイスは各社いろいろな名前がありますが、
元祖はヤマハのYPVS
ヤマハ・パワー・バルブ・システムの略です。
YPVSだけが無段階調整式でヤマハの特許です。
ホンダもスズキもカワサキも、
無段階調整をしたいところですが、
ヤマハが特許を持っているので、
3段階とか4段階調整という苦肉の策で対応しています。
さて、その排気デバイス(RCバルブ)を動かす
モーターが動いていません。
可能性を探ります。
・サーボモーターの不良
・RCバルブの固着
・PGM(モーターを制御しているコンピューター)の不良
・各配線の不良、コネクターの不良
などなど、を点検。
まずサーボモーター自体の不良診断。
マニュアルにしたがって点検。
サーボモーターを取り外し、
バッテリーに直付けして、
右回転、左回転共にスムーズにモーターが動くかを確認。
普通に回ります。
ということはモーターは正常。
しかし、組み付けると動かない。
ついで
マフラーを外して、排気ポートが固着していないか確認。
カーボンが溜まって、RCバルブの動きが非常に悪かったので、
カーボンを除去して、バルブが指でスコスコスムーズに動くように。
さて、もう一度マフラーをつけてエンジン始動。
やはりモーターが動かない。
バルブの位置は低回転時のまま動きません。
だから高速域でパワーが出ないんですね。
ではPGMの不良か?
PGMはやたらと高い。
当然分解など出来ませんので、
不良の時はアッセンブリー交換。
男勝負でPGMを買ってみようか・・・・
しかし、高いので誤診断だと損害が大きい。
再びモーターを点検。
バッテリー直結だと、普通に作動しますねぇ・・・
なのに組み付けると動かない。。。。
しかし、何回かエンジンをかけていると、
たまに動く時があります。。。。
ムムム、ますますなぞだ。
各配線の断絶、コネクターの結線不良など、
合わせて点検しますが、異常なし。
なんじゃろ??
RCバルブもスムーズに動くようになったし、
サーボモーターとRCバルブをつないでいるワイヤーも
スムーズに動く。
モーターさえ作動すれば、必ずRCバルブは動くはずです。
でも動かない。
いや、時々動く。
やはりPGMか・・・・
PGMなんてそう簡単に壊れるものではありません。
ってか、高くて簡単には買えません。
仕方がないので、サーボモーターを分解してみることに。
ここからはマニュアルには載っていません。
まず、サーボモーターを取り外します。
バラバラにしてみると、
モーターの駆動がプラスチックのギア数枚を介して変速されてから
コントロールロッドが動くようになっています。
手でコントロールロット(写真の丸い部分)を手で動かします。
ギアーを介して逆にモーターが動くはずですが、
なんと、途中でギアーが空回り。
原因はこれ↓
ギアー1時方向の山に注目。
2山磨耗して山の高さが半分くらいになっておりました。
モーターが回転して、ギアーが駆動されるわけですが、
ここのギアで回転が伝わらず空回り。
結果コントロールバルブが動かず、RCバルブ不作動ということでした。
交換したいのはこの磨耗したプラスチックのギア1枚ですが、
パーツ設定がありませんので、
サーボモーターアッシー交換。
ま、致し方ない。
PGM買わなくて良かったーーーーーっ!!
新品のサーボモーターアッシ
さてさて、これで無事にRCバルブも作動するようになり、
本来のCRMの速さが戻りました。
今回のトラブル。
根本的な原因はRCバルブにカーボンが付着したことに起因します。
バルブの動きが悪くなっても
サーボモーターはPGMの命令どおり作動しようとします。
動かないRCバルブを無理やり動かそうと頑張っているうちに
プラスチックのギアーが磨耗、または欠損して
最終的にRCバルブが動かなくなる。
CRM250AR乗りの方は、RCバルブも定期的な清掃が必須です。
サーボモーターも意外に高い。
24400円(税抜き)という高価なパーツ。
メーカー在庫も残り少なく、
販売終了間じかです。
最近ホンダのパーツは生産終了がとっても早い。
ヤフオクで中古のサーボモーターを確保しておいて、
最悪、パーツのスワップができる体制を取っていたほうが
良いかもしれませんねぇ
と、今日の日記はバイク乗りしか分からない
オタクな話でございました。
今回のように
サービスマニュアルだけでは分からない事は
多々あります。
マニュアルはあくまでマニュアル。
教科書に載っていないことに本質があったりします。
人生と同じだな。
いやー、整備って面白いなぁとつくづく思います。
というわけで、今日の日記は
ちゃんと仕事もしていますよーーーという日記です。はい。
おしまい。
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