昨日TPPについていろいろ考えました。
第一次産業(農産物など)
第二次産業(工業製品など)
は関税などの貿易障壁によって、
国益に対して、保護機能がありますが、
TPPはこれら関税障壁一切を取り払うばかりでなく、
第三次産業(金融・教育・福祉サービスなど)も 自由化が広がることになります。
物も、人も、サービスも 国境がなく、自由に移動できるようになる。 自由化は大変すばらしい!
とも思えますが、 自由とは何か?
よくよく考えてみましたが、 いまいち良くわかりません。
自由化が自由を享受してくれるのなら、 両手話で賛成なわけですが、 実際にはそうでもない結果をもたらす可能性もありうる と思います。
世界で最も自由化が進んでいるのはアメリカなわけですが、 なんと、 アメリカの刑務所はすでに1部民営化されております。
刑務所が1企業となっているわけですが、 企業である限り、利益がでないと成り立ちません。 ということは、 犯罪者がいなくなったら困るし 犯罪者がより長期間刑務所にいてもらわないと困る というベクトルがかかってきます。
刑務所の本来の目的は罪人の更生なわけですが、 本来の目的よりも「経営」つまり、 利益がでるかどうか?_ということが優先されます。
ということはどう言うことかというと、 罪人の更生なんてどうでもよくて 超低賃金労働で長期間強制的に働いてくれる服務員が 多ければ多いほど儲かるし 犯罪社会バイザイという結果をもたらします。
実際に厳罰化(刑期の長期化)を推し進めている議員に 民間刑務所は多額の献金を出している状態です。
ま、刑務所ぐらいならまだまし。
問題はFRB。 アメリカの中央銀行にあたるところで、 実際に米ドルを刷ることのできる機関ですが、 ここは100%民間企業です。
日銀は45%が民間。 政府が55%の株を持っていますので、 安倍さんは日銀総裁の首を挿げ替えることができましたが、 アメリカはこれと同じことができません。
オバマ大統領はバーナンキの首を切れない。
アメリカ政府が発行した国債を 儲からないからという理由でバーナンキが 「買うのやーめーた!」と言えば、 あっという間にデフォルトがやってきて、 アメリカ経済は破綻します。
バーナンキはそれはそれで困るので、 アメリカ政府を邪険にはしませんが、 いざとなれば、FRBはどこかよその金融機関と一緒に 海外に行っちゃうこともできるわけです。
つまり、 アメリカの国益や国民の幸福を優先して、 紙幣の発行をコントロールしたいとオバマさんが思っていても、 国債を買う、買わないはバーナンキの「自由」なわけですから、 1企業であるFRBは国益や国民の幸福よりも 利益こそが最優先される傾向が強くなる。
オバマさんは日本のような国民皆保険制度を作ろうとしましたが、 これは見事に駆逐されました。 国民の利益よりも、FRBの利益、 つまり金融的な利益が優先された結果です。
アメリカ国民が選挙で国民の利益を追求するであろう人を 選出しても、その政策は儲かるか、儲からないかで 政策そのものが変更されてしまう。 アメリカ国民は既にアメリカをコントロールできていない。 とも言えます。
TPPは国境をなくし、 貿易や人の出入りを自由化することですが、 それは、国家の影響力というものを 低下させることとイコールですから、 国益や国民の幸福追求というベクトルは弱まり、 利益こそが最優先される社会がやってくる可能性が 高まります。
人間の価値も、「いくら稼げるか?」ということこそ重要で 稼げない人はどうぞ退出(のたれ死んで)してください。
という大変危険な世界になりかねません。
世界は今、 すべての富の40%をたった1%の裕福層が 握っている状態なわけですが、 1%の富裕層というのは つまり、ロンドンやウォールストリートに集まる 国際投資会社です。
アメリカ社会はすでに巨大な格差社会ですし、 日本ももうすっかり格差社会となりました。 日本の大手一流企業の社長の年収は軒並み10億前後なのに、 一般社員の給料は400~700万。 格差は44倍にも上ります。
世界全体もすでに巨大な格差社会ですが、 利益のみを追求していっても、 格差是正にはなかなか繋がりません。 これはすでに世界の富の分布をみれば明らかです。
TPPや自由な貿易は素晴らしい一面もありますが、 こうした利益追求がもたらす格差社会の形成は 国益や国民の幸福を逆に阻害する可能性を 秘めているのかもしれません。
金融世界を支配する1%の人たちが 残り99%を支配する世界。
ウォール街の占拠は 一時期マスコミに多く取り上げられましたが、 今ではすっかり取り上げれなくなりました。
TPPや自由経済の台頭というのは 1%の裕福層の逆襲なのかもしれません。
私的にはTPPは半分賛成、半分反対。
まだちょっと研究が必要だと思います。 |