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2015/05/15

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世界一貧乏な国の大統領スピーチ
今日車検に行く道すがら
ラジオを聞いていましたら、
「世界一貧乏な国の大統領スピーチ」が
取り上げられていました。

人口わずか300万人ほどの小国
ウルグアイの大統領が
2012年に行われた
国連維持可能な開発会議(リオ+20)で
行ったスピーチと言うことでした。


今から3年ほど前の会議ですが、
私はこのラジオで
ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチを
初めて知りました。


ムヒカ大統領は
大統領としてもらえる給料の9割を寄付し
国民の平均的年収ほどの給料で暮らし
おつきの人もいず、
古い自家用車で自宅から自分で運転して通勤。

ヒッチハイクをしていた人が
乗った車が大統領の車だった!

という逸話があるほどです。

ある日、その車1億円でを売ってくれないか?
という打診をされますが、
それを断って、古い自動車を乗り続けました。


そんなムヒカ大統領のスピーチだからこそ
非常に心打たれる内容のスピーチでした。


以下にムヒカ大統領のスピーチを掲載しておきます。


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会場にお越しの政府や代表のみなさま、ありがとうございます。

ここに招待いただいたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝いたします。私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンテーターのみなさまにも感謝いたします。国を代表する者同士、人類が必要であろう国同士の決議を議決しなければならない素直な志をここで表現しているのだと思います。

しかし、頭の中にある厳しい疑問を声に出させてください。午後からずっと話されていたことは持続可能な発展と世界の貧困をなくすことでした。私たちの本音は何なのでしょうか?現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?

質問をさせてください:ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。

息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。同じ質問を別の言い方ですると、西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億〜80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?可能ですか?それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?

なぜ私たちはこのような社会を作ってしまったのですか?

マーケットエコノミーの子供、資本主義の子供たち、即ち私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。

私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか?あるいはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか?

このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で「みんなの世界を良くしていこう」というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか?

このようなことを言うのはこのイベントの重要性を批判するためのものではありません。その逆です。我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。

現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。

ハイパー消費が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです。

このハイパー消費を続けるためには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。ということは、10万時間持つ電球を作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです!そんな長く持つ電球はマーケットに良くないので作ってはいけないのです。人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません。

石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。私の謙虚な考え方では、これは政治問題です。

昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています

「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います。

国の代表者としてリオ会議の決議や会合にそういう気持ちで参加しています。私のスピーチの中には耳が痛くなるような言葉がけっこうあると思いますが、みなさんには水源危機と環境危機が問題源でないことを分かってほしいのです。

根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ。

私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です。私の国には300万人ほどの国民しかいません。でも、世界でもっとも美味しい1300万頭の牛が私の国にはあります。ヤギも800万から1000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。こんな小さい国なのに領土の90%が資源豊富なのです。

私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために戦いました。そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜか?バイク、車、などのリポ払いやローンを支払わないといけないのです。毎月2倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。

そして自分にこんな質問を投げかけます:これが人類の運命なのか?私の言っていることはとてもシンプルなものですよ:発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです。

幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

ありがとうございました。

訳:打村明
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参照元URL
http://hana.bi/2012/07/mujica-speech-nihongo/


大変心打たれるスピーチだと思います。

「持続可能な発展」とは
その主語が「すでに発展している国」の持続可能な発展と
案に示唆しているようでもあります。

私たちは出来るだけ安く製品を作り
より多くの利益を出すために
さらに安い労働力と資源を求めて
中国に進出し
東南アジアに進出し
アフリカに進出しています。

先進国に住む我々からすれば、
それはある意味正しいのかもしれませんが、
ムヒカ大統領の言うように
80億人の人たちが皆先進国並みの生活をするとなると
安い労働力も資源もなくなるわけですから、
持続可能な発展は成り立たなくなることが分かります。


心の奥底では
ムヒカ大統領がおっしゃていることが
正しいのだと私は確信しています。

しかし、一方で
温暖化問題の時の「ハチドリのしずく」や
今回のムヒカ大統領のスピーチなどを、
国策として本気で実践していくと、
国の発展は鈍化していきます。

国力の低下は極端なデフレやインフレを招き
失業者が増え、治安が悪化します。
そういった状況は決して望ましい状態とは言えません。

今、先進国が先進国でいられるためには
他国が先進国になってもらっては困るわけでし、
または、先進国である他国が
これ以上発展しても困るわけです。

発展途上国はいつまでも発展途上国で
先進国は1つでも少ない方が良い。

そのために
「ハチドリのしずく」や
「世界一貧乏な国の大統領スピーチ」などが利用されている
ということもどこかにあるのかもしれません。


言っていることとやっていることが違う
いわゆるダブルスタンダードという外交は
古くからヨーロッパ諸国にある外交手法です。

江戸時代に唯一貿易をしていた
長い付き合いのオランダ。
日本は開国しないと
アメリカ・イギリスなどの植民地となってしまうぞ
という忠告をし開国を促す親書を送りました。
イギリスやアメリカと比べれば
圧倒的に国力の低かったオランダですが、
日本には絶対的な利権を持っていましたので、
このままイギリスやアメリカが日本を取ってしまったら
オランダの利権はゼロになる可能性がありました。

オランダ本国で行われていた会議では
オランダが日本で持っている利権を少しでも確保するためには
日本に開国してもらって
他国と共同で1/3だけでも利権を残すほうが得である。
長い貿易を続けてきた友として
親切心から開国を促しているような新書でしたが、
その本心は自国の利権確保というものでした。


地球温暖化問題を取り上げた
アル・ゴア元副大統領の自宅の電気代は
年間300万円でした。

言っていることとやっていることが違うのです。



ウルグアイの大統領
ムヒカ氏は
言っている事と、やっている事が一致しているだけに、
心底心を打たれました。


ムヒカ大統領のスピーチが
他国の発展を阻害させるために利用されている可能性も
どこかにあるかもしれないと
ちょっと穿った見方をしていまう・・・

自分の心が貧しいのかなぁ

大変感動したのと同時に
自分の心の卑しさが
垣間見えてしまったような気もして
何とも複雑な気持ちになりました。


皆さんはどうお感じになられましたか?

おしまい。


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