明治維新以来、
日本は西洋の科学・文化・教育・政治・経済など
まるでスポンジのように吸収していきました。
翻訳本として非常に有名なのは
杉田玄白の「解体新書」
確かドイツの医学書だったと思いますが、
これを全て日本語に翻訳したものです。
西洋のさまざまな概念まで日本語に翻訳されていきます。
幕末以降のこうした翻訳でできた日本語は「和製漢語」と
言われ、
文化
文明
民族
法律
経済
資本
階級
宗教
哲学
物理
科学
などなど
現在一般的に使われている多くの漢字は
先人たちの翻訳作業によってもたらされたものです。
また、そればかりでなく、翻訳によって、
新しい概念も広く理解されるようになりました。
これら和製漢語は日本に留学していた中国人が逆輸入して
中国にももたらされ、現在でも使われています。
中華人民共和国という漢字で、
人民も共和国も和製漢語です。
さて、
明治維新当時の世界に目を向けます。
もちろん世界のほとんどは
白人によって植民地支配されている状態です。
中国にもイギリスがアヘン戦争を仕掛け、
植民地支配の手が伸びておりました。
既に植民地支配されてる
有色人種は差別・搾取され、
奴隷的生活を送らざるを得ない状況で
逡巡しておりました。
日本は鎖国し完全な形で独立を保っておりました。
ヨーロッパから遠い
極東の島国という特殊な環境もあって、
白人の植民地支配の手が日本に届くまで
非常に幸いなことに他国に比べて
時間がかかりました。
この地政学的な強運がなかったら、
恐らく日本も他国同様、
あっさりと白人の植民地となっていたと
私は思います。
この奇跡的な時間差の間に、
日本は西洋の文明を急速に吸収していきました。
もちろん、その土壌には
江戸時代の教育水準の高さがあります。
幕末(江戸)の識字率は70~90%
庶民でも文字の読み書きができました。
一方で
イギリス(都市部)1837年 20~25%
フランス 1793年 1.4%
一部エリートを除く一般庶民の多くは
文字の読み書きができないという状態でした。
知識や教育は一部のエリート貴族だけが知っている方が
貴族以外の大多数を支配しやすいからです。
一般庶民と貴族とでは
生活水準に極端な差が存在していました。
一方日本では殿様も一般庶民も
等しく知識を共有するという
素養があった。
多くの庶民は文字の読み書きができ、
知識を吸収する土台が整っていた。
だからこそ、
杉田玄白の解体新書をはじめ
和製漢語で次々に翻訳し、
西洋の知識が多くの日本人に「等しく」
そして、「急速」に広まっていきました。
こうした翻訳作業がなければ、
明治維新以降、日本の急速な工業化はなしえなかった、
明治になって、わずか30年で全国に鉄道を敷きました。
ちょっと前までちょんまげを結い刀をさしていた、
西洋人からすれば未開で無教養な島国の日本が、
日露戦争で当時世界最強と言われていた
ロシアのバルチック艦隊を撃破し勝利しました。
こんなことができたのは
①江戸時代の寺子屋による一般庶民の教育水準の高さ
②杉田玄白をはじめ多くの西洋書物の翻訳
③知識を独占しない平等な社会風土
これら3点が日本の発展に大きく貢献していたことは
明明白白な事実だと思います。
さて、ここからが今日の本題です。
話が長くてすいません・・・
いきなり話は現代に飛びます。
今日のお題はTPP。
2000ページにも及ぶと言われている
TPPの合意文章。
昨年、甘利大臣が合意のサインをしましたが、
2000ページの英文を読むのは大変です。
ネット上で探しましたが、
日本語に翻訳されているものは見つかりませんでした。
なぜか英文の原文も日本のホームページにはありません。
原文を探すのも結構苦労しました。
下記にニュージーランドが公開している
TPPの合意文書の原文をリンクしました。
http://www.tpp.mfat.govt.nz/text
私たち一般庶民がTPPの知識を共有することは
大変重要であると同時に、
実際にTPPが始まる前の対策をする上で、
広くTPPの内容が国民に理解され、
大いに議論し、コンセンサスを取っておく必要があると思います。
そのためにはまず合意文書を翻訳し
一般に広く公表しなければなりません。
まず、知識の共有が大切ですから、
日本政府はいち早く合意文書を日本語に翻訳し、
ホームページに載せてほしいと思います。
TPP合意文書を訳したら
まさに現代の解体新書となり得ます。
知識は一部支配層に置くだけでなく、
広く国民と共有してこそ、
日本の発展があるのだろうと思います。
だれか暇な人訳して!!
おしまい。
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