オイル漏れが激しいと入ってきた
アドレスV50
エンジン全体がオイルまみれでした。
まずきれいに掃除するために、
冷却空気の流路である
シリンダー全体を覆っている
エンジンカバーも外します。
オイル汚れははエンジン全体に及んで、
オイル漏れの個所はにわかには特定できそうもありません。
普通はある一定の場所からオイルが漏れます。
例えば、ヘッドカバーガスケットであったり
カムチェーンテンショナ・ガスケットであったり、
汚れの起点を探せば良いわけですが、
その起点らしきものがありません・・・・
なんじゃこりゃ???
完全に均等にエンジン全体がオイルで汚れております。
ひとまずきれいに洗浄し
オイル汚れを取ります。
そんで、エンジン始動して放置。
どこかにオイルの漏れている箇所が
必ずあるはずです。
しかし、
エンジンをかけ始めると
何とも不思議な匂いが・・・
ブローバイガスの匂いがプンプンします。
ブローバイガスとは
空気とガソリンの混合器がシリンダーに入り
ピストンが上がって圧縮する際に
クランクケース側に逃げる未燃焼ガスのことです。
そのブローバイガスは有害物質を含んでいますので、
ブローバイホースを伝ってエアクリーナーボックスへ
戻る仕組みなっています。
エアクリーナーボックスに戻ったブローバイガスは
再びシリンダーに吸われて燃焼します。
従って、
通常ブローバイガスの匂いはしてこないはずです。
でもなんかブローバイガスっぽいオイニーがプンプンです。
ちなみにちゃんんとブローバイホースは繋がっており
外れてはいません。
にもかかわらず匂いがします。
なんじゃろなぁ、なんじゃろなぁーと
エンジンをジロジロ見ていると、
あっ!!
ブローバイガスはこの穴から出ています。
この穴の正体は
カムチェーンテンショナーガイドのピボット(軸)ボルトの穴・・・
これが抜け落ちてカムチェーンガイドが
カムスプロケット側に
引きずられて飛び出してきています。
かろうじて引っかかっている状態で
ギリギリカムチェーンのテンションが保たれていました。
もし、このまま走行していれば
いずれガイドが削られて折れます。
カムチェーンはバタバタ暴れて
バルブタイミングがずれて
エンジンブローでした。
エンジンカバー内にも抜け落ちたボルトがありませんでしたので、
走行中に落ちたか
はたまたそもそもピボットボルトを付け忘れたか
のどちらかです。
ブローバイガスにはオイルも交じっていますので、
冷却用の空気の流れに乗って
オイルがエンジン全を汚していた
と言うものでした。
カムチェーンガイドを外してみると
やはり一部だけにテンションがかかり
削れていました。
・カムチェーンガイド交換
・ピボットボルト&ガスケットワッシャー補充
・ヘッドカバーガスケット交換
で事なきを得ました。
購入したばかりと言うアドレスV50
こんなこともあるんですねぇ
久しぶりに新鮮な驚きでした。
どんな仕事でもそうだと思いますが、
長く整備をしていますと
大体の事例はパターンにはまります。
それに伴って次第に新鮮味は薄らいでいきます。
しかし、
たまにイレギュラーなパンチのきいた整備が入ってくると、
新鮮な驚きがあっていいですね。
あ、お客様にしてみれば、
バイクが壊れているわけですから良くないことですが、
バイクの奥深さはまだまだ計り知れんなぁと
つくづく感じてしまします。
整備は1日にてならず
ですね。
おしまい。
|