尖閣諸島で起こった中国漁船衝突事故のビデオが
ユーチューブに流れて大問題になっています。
おとといのラジオでもその話題ばかりでした。
私はビデオの公開には反対でした。
もちろん個人的には見たかったですが、
あんな形でビデオが流出してしまうなんて
まったく思っていませんでした。
ビデオ公開に反対していた理由は簡単です。
中国との「外交カード」です。
ビデオ流出前、
もし、政府の言うように中国漁船の方から衝突してきたことが
はっきり分かる証拠があるのなら、
それは、大きな外交カードとして使うことができたと思います。
レアアース輸出がまだ正常に動いていないことや、
それこそ尖閣諸島の領土問題などの交渉材料として
「ビデオ」というカードが十分に使えたと思います。
公表されることで、中国はメンツ丸つぶれとなり、
世界的に避難されたり、
日本に向いていた中国国民なさまざまな
不満が一気に政府に向かうのは
中国政府としても快くありません。
ビデオをネタに、少しでも日本のためになる
外交的成果が得られたはずです。
なんの外交的成果もないまま、
ただビデオを公開(流出)してしまうという醜態。
日本のトップシークレット、
極秘事項の情報がいとも簡単に流出してしまう
危機管理能力のなさを世界に露呈したばかりか、
米国との国防協調の中で
米国側がどう思うか?
国家の安全にかかわる重要事項で
連携した国以外に知られてはまずこともあるはずです。
日本の情報管理能力に問題アリとみなされると
そうした国防上の情報共有もできなくなるかもしれません。
先日のラジオリスナーの反応は
「よくやってくれた」的な意見が8割を占めていました。
もう、まったく信じられません。
今回の情報漏えいで
どれほど日本が不利益を被るか
考えたことがあるのでしょうか?
もう、ホントなさけなくて何も言えません。
ちょっと話は変わりますが、
佐藤栄作政権時代。
沖縄から米国の核を撤去させる代償として
沖縄基地永久使用権をアメリカに認めたわけですが、
そのことが、現在にも続く沖縄基地問題となっています。
当時密使として若泉敬さんがアメリカに送られ
核撤去の交渉をしていたわけですが、
アメリカは核を撤去するかわりに基地の使用権を認めるよう
要求してきたわけです。
しかし、
当時原子力潜水艦がすでに稼働しており、
アメリカは世界のどこからでも
核兵器を発射できる体制が整っていました。
つまり、沖縄から核を撤去したことで
全く何の不利益もなかったわけです。
しかし、そのことを伏せたまま、
交渉が続き、結果アメリカは
沖縄の永久基地使用権を日本に認めさせた。
それが現代の基地問題につながっているのです。
日本の外交能力がなかったのはもちろんですが、
アメリカのしたたかさ、また、情報管理能力が
日本よりもはるかにすぐれていた。
「核兵器を世界のどこからでも発射できる」という
情報を日本と共有せずに、
したたかな交渉を続けたアメリカを
責めているわけではありません。
外交とはそういうものだと思います。
今回の尖閣諸島ビデオ流出事件。
日本は何のメリットも得ないまま
上記のように不利益のみが発生しました。
あえて反発を恐れずに言うなら、
安っぽい正義感のみが保たれただけです。
最近なかなか有利な外交カードがない日本にあって
久しぶりに中国に対して有効なカードを持っていたのに、
あんな形で情報が漏えいし、
ビデオがネットに流出してしまうなんて、
そして、
それを「よくやった」と・・・
いったいどうなっているんでしょうか?
犯人探しなんてこの際どうでもよいことです。
機密情報の管理や危機管理能力の見直しと強化が
最有力の改善事項です。
「情報を守る」というとは
国を守れるか守れないかの要です。
まったくもって遺憾です。
皆さんは「ビデオ流出」に関してどう思われましたか?
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