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2010/11/17

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思いもよらない・・・
冷却系統の不良ということで入庫したAX-1。

高速を走行すると必ずと言っていいほど
冷却水がリザーバータンクから溢れてしまう、という症状。
回転を上げないように街乗りしているときは溢れない。

お客さんはツーリングの際
必ず水を持って、足しながら走っていたそうです。


入庫してすぐにリフト(作業台)の上で
エンジンかけっぱなしにしてファンが作動するかチェック




ブロロロローーーー。






しばらくするとブイーーーーン、としっかりファンが作動しています。
リザーバータンク内のクーラントの量も正常。

水温が下がると、ファンも止まります。







はい、正常。









うーん、正常だなぁ・・・・






保土ヶ谷バイパスまで走りに行って、
実際にクーラントが溢れるかチェック走行。
念のために、ペットボトルに水をたっぷり入れて、
リュックに工具を詰め込んで出発。

すると、

確かに溢れます。




高圧・高回転の時にのみ症状が出ます。


再びリフトの上で4000回転をキープしてテスト。

すると、

ブイーーーン、としっかりとファンが作動。
クーラントも溢れません。。。。!?




リフトの上だとどうも症状が出ない。。。。





もっと回さないといけないのかなぁ…





高速走行時の高圧・高回転の時だけ
クーラントが溢れる。。。




ヘッドガスケットがほんの僅かに抜けて、
混合気や排気ガスがウオータージャケットに
侵入している可能性が高い。





ということで、エンジンばらします。


せっかく開けるので、ピストンリングも新品に交換。



ヘッドガスケットをじっくりと眺める。
それらしい傷やクーラントが抜けているであろう場所を探す。


うーん。よくわからん。。。。。


それらしいのはあるが、これくらいでは抜けないはず。


腰上をばらしていると、
ウオーターポンプのドレンから液漏れの跡を発見。
冷却水(クーラント)を循環させるために
プロペラ(インペラーと言う)が回転しているのですが、
オイルの入ったエンジンの部屋とクーラントの入った水の部屋を
隔てるメカニカルシールというものが同軸上に付いていますが、
最悪メカニカルシールがダメになった時、
エンジンの部屋にクーラントが流れ込まないように
排出する穴が開いています。
ここからクーラントが漏れて、
クランクケースカバーの塗装がはがれた跡がありました。

ということでメカニカルシールの交換も行います。



↑これがインペラー、青い色の部分がメカニカルシールです。

打ち変えるのはなかなか難しいです。
しっかり、そして確実にまっすぐ入れないと、
新品に打ち換えてもまた漏れます。



んで、エンジン組み上げて再びテストラン。



ピストンリング変えたので慣らしが必要ですが、
ちょっと意地悪な走り方をして、
負荷をかけながら、再び保土ヶ谷バイパスへ。



と、なんと三ツ境のあたりでもうクーラントが吹きました…



なおってない???



クーラントを補充してさらにテストランを続けます。
今度は高速道路に行かずに、一般道で
やさしく走ってみます。

するとクーラントは吹きませんが、
クーラントのリザーバータンクの液面が
タンクいっぱいいっぱいにまでなりました。

やばいやばいと思って、エンジンを止めると
なんと、その2秒後
「チューーーー」という音とともに、
液面がロアーレベル以下まで下がりました
アップアップの液面がロアーレベル以下まで下がる時間
おおよそ4秒。。。。




なんだこりゃ!?











作業台でテストを行っている時は
ラジエターは熱々になりますので、
クーラントはしっかり循環しているはずです。


うーん。なんだろう・・・





わからん・・・・








サーモスタットの開弁温度がおかしいのだろうか?



んで、サーモスタット取り外し。


鍋に水を入れて徐々に温めます。
開弁温度は通常のサーモスタットは83度くらいです。

沸騰前にすこしづつ開弁し、95度くらいで全開になります。


ちゃんと開弁しました。


でもリフト量が少ないような気もするし、
温度が下がった時の閉弁も早い気もする。。。




んで、これも新品の交換。
新品のサーモスタットと古いのを
再び鍋で温めてみると
開弁温度はおおむね同じ。
リフト量はわずかに新品の方が多い。
閉弁スピードは・・・

明らかに新品の方が遅い!
古い奴は閉弁が明らかに早いです。


これかなぁ・・・
(なんか腑に落ちてない)




三度テストラン。






まず、工場の周りの道を1周。


問題なし。


2周。


問題なし


3周


問題ない。


液面も変化がない。






サーモスタッドだったのかなぁ



なんか腑に落ちません。







ということで、またしても保土ヶ谷バイパスへ
80キロ巡航をしながら液面を確認。

液面は上がりますが、吹きはしませんでした。






しかし、液面の上がり方がどうもおかしい。




高圧になると多少は液面が上がりますが、
上がり方が通常より多い。
冷えたときの下がり方も何かへん。




なんかがおかしい。






でもわからん。。。。








一応クーラントは吹きません。



ひたすら走ってテストランをしながら
クーラントの動きをイメージ。


エンジンをかけるとインペラーが回り
クーラントは、まずシリンダーに入ります。
ここでクーラントが温められる。

温度が83度以下の時は
サーモスタットが閉弁していますので、
まだラジエターにクーラントは流れません。

83度を超えると
サーモスタッドが開弁して
クーラントがラジエターに流れます。

走行していると走行風がラジエターに当たりますので、
クーラントが冷やされ、冷やされたクーラントが
再びウオーターポンプ→シリンダーに流れ
エンジンを冷却しています。

エンジンが冷やされすぎて、83度以下までに下がると
サーモスタットが閉弁してクーラントの流れを止め
エンジンを温めます。


この働きでエンジンは一定の温度を保ちます。


よく、サーモスタットはエンジンを冷やすために付いている
と思っている人がいますが、
正確には逆です。
温めるために付いています。
エンジンが冷えすぎないようにサーモスタットが付いています。




ただし、サーモは閉弁中でもクーラントの流れを
最低限保つために小さな穴(直径1mmくらい)が
あけられています。
サーモ取り付けの際は
この穴を上に向けるとエアー抜きが速くできます。
マニュアルには載っていませんが、
知っている人はちゃんと上にします。







リフトの上ではラジエターはアツアツになっていましたので、
クーラントは循環しているはずです。


筈ですが・・・なんだでろう?
どうもおかしい。





仕方ないのでホンダのサービスに電話
1時間くらい話しましたが、
サービスの言うことは全て点検済み。
結局わからずじまい。


バブー









そんなこんなでテストランを行いながら
走行中におもむろにラジエターを触ってみます。

















あれ?









冷たい。。。。












ガンガン走っているのに冷たい!?








サーモが作動していないのかな?
でも新品だし。。。。目視でも開弁は確認しています。








信号待ちで止まった直後は明らかに
ラジエターが冷たい。。。。
しばらくそのままアイドリングしていると暖かくなってきます。






やはり何かがおかしい。
クーラントは吹かないし、症状は緩和されていますが、
このまま出荷するわけにもいかん。




走っては止まり、走っては止まりを繰り返し
結局100キロくらい走りました。




走る→ラジエター冷たい→止まる→ラジエター熱い。

を繰り返しながらテストランしまくり。












何だろう。












どうも冷却水の循環に問題があることは
間違いありません。
走行風がラジエターに当たっていない時(リフト上)は
正常に作動しています。




水周りは全て分解・確認済み。



















そういえば、入庫していただいた時に
「3年前にラジエターホースを全て新品に交換した」
と言ってたっけ・・・・・






ん!?







まさか???




いや、でもまさかそんなことが・・・・








ウオーターホースの取り付けが間違って
冷却水が逆流している?





逆流すると
まず冷却水はシリンダーではなく
ラジエターに流れます。

冷やされた冷却水がサーモスタットに直に当たります。
当然閉弁。

エンジンの回転が低い時は
インペラーの回転も低いので、
水圧もそれほど上がりませんから、
完全に閉弁していても
抜けの穴(1mmくらい)からわずかに循環して開弁。

走行風が当たらないリフトの上ではラジエターは
冷やされませんので、クーラントの温度は正常に上がります。
しかし、走行風が当たり、ラジエターが冷やされると
冷やされたクーラントがどんどんサーモスタットに
当たりますので、全閉。
高温・高圧となったクーラントはラジエターキャップの
圧力に打ち勝ってリザーバータンクへ流れ込みます。


エンジンを切ると、インペラーの回転が止まって
内圧が一気に下がり、負圧になったラジエター本体が
一気に冷却水をリザーバータンクから引上げます。




逆流しているとなると
今までの現象が全て説明がつきます。




さっそく工場に帰って、
ネットで「AX-1 ラジエターホース」などの検索キーワードで
画像検索。



ああ・・・・




やっぱり逆に付いている。。。。








ウオーターポンプに刺さるホースが逆に付いている!!!!














まさかこんなことがあるなんて・・・・


ホースの取り付けが間違ってる。



お客さんが自分でホース交換したのかと思って
出荷時に念のために聞いたみましたが、
何とホンダのバイク屋さんで交換したようです。





うーん・・・・




冷却水が逆流すると
シリンダーもラジエターも超高温・超高圧となります。
シリンダーガスケットも痛みますし、
メカニカルシールも痛みます。

下手をすると焼きつきます。


AX-1のシリンダーはメッキシリンダー(NSシリンダー)ですので、
焼きつくとボーリングもできません。交換です。高価です。




最悪の事態が来る前で本当に良かったです。


AX-1のパーツもどんどんなくなってきましたからね。








散々悩み時間もかかりましたが、
原因もはっきりつかめ、気持ちよく治りました。


ちなみに原因がつかめたのが
夜の11時。
ホースをつなぎなおしてエア抜きをして
最後のテストランに行ったのが12時
1時間くらい走って帰ってきた時は
もう、うれしくて、うれしくて涙です。



時間もかかって悩みまくったためか
AX-1に対する愛情がどんどん出てきました。
テストランを100キロ近くしましたが、
本当に良いバイクです。

何といってもポジションが素晴らしい
足の位置、おしりの位置、手の位置
通常走行中も、攻めて走っている時も、
カーブも停車時も無駄な力が一切かかりません。
まさにベストディメンション!!

エンジンも低速から、高速までストレスが全くない。

バイク便の人たちが好んで使っていたのも
きっとこのパッケージが良かったからだともいます。

街乗り、ツーリング、ワインディング。
全てに対応して、ストレスがない。
まさに万能バイクの代名詞。


いやー、欲しいバイクがもう一台増えました。





なんであのエンジンなくなっちゃったんでしょうかねぇ
AX-1とディグリーでなくなってしまいました。残念です。








いやー、それにしても
思いもよらぬ原因でしたが
ほんと勉強になりました。



何年やっても、
なんで悩むんですかねぇ
バイクは奥が深いです。


おしまい。
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