2項
「前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。」
大切なのは2項の「前項の目的を達成するため」と言う部分。
2項は昭和32年(1957年)の
いわゆる芦田修正で付け加えられたわけですが、
何のために2項が付け加えられたのか?
ここが重要なんだろうと思います。
つまり、
「国際紛争を解決するために」
「陸海空その他の戦力は保持しない」
ということです。
では「国際紛争」とは何か?
大辞林第3版によると
国と国との間に起こる紛争。
広くは戦争も含めるが、
普通、戦争にはいたらない程度のものをいう。
となっています。
つまり、国と国とで意見の不一致がある状態を指します。
国と国とで意見の不一致がある場合に
戦力を使って解決しようとすることが戦争なわけですが、
日本は国と国との間で意見の不一致がある場合、
戦力は使いませんよ~と言っているわけです。
これは、
自衛権の発動を妨げているわけではありません。
従って「自衛隊」は合憲とも言えます。
多くの憲法学者は自衛隊は違憲であるとの意見ですが、
なぜ芦田修正が付け加えられたのか?
ということを今一度思い出せば、
現憲法下でも自衛隊は合憲なんじゃないかなぁ~と思います。
戦車や戦闘機、ほぼ空母である「いずも」や
イージス艦があるわけですから、
これは立派な戦力ですし、現実的には軍隊です。
しかし、これら戦力を
「国際紛争の解決のために」は使用しないと言っているだけ。
しかし、もし相手が攻めて来た場合、
日本国民の「生命・財産・安全」と守るために
自衛隊が「戦力」を使っても、
憲法上全く問題はありませんし、
そもそも、
国民の「生命・財産・安全」を守ることは、
国の義務でもあります。
憲法13条にはこうあります。
「すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、
立法その他の国政の上で、
最大の尊重を必要とする」
政府は「最大限国民の生命・財産・安全」を
守らなければならない義務を負っているわけです。
長くなりましたが、ここからが本題です。
問題は「自衛隊」という名称です。
自衛隊は立派な戦力ですし事実上の軍隊ですが、
国内的に「自衛隊は軍隊ではない」と言っています。
PKOなどで海外に赴任しいる自衛官の方が、
何らかの紛争に直面し、他国でやむなく
他国の兵士を殺害した場合、
日本の法律ではなく、
その国の法律で裁かれてしまいます。
他国の法律に日本は口出しできませんから、
自衛官の人は「殺人罪」で裁かれてしまいます。
そればかりか、
捕虜になったときに、何一つ保護されません。
捕まって何をされても日本は何もできません。
1899年のハーグ陸戦条約で
「捕虜は保護される」とうことが決まっているわけですが、
軍人でない自衛官の方はこの限りではないわけです。
自衛官は他国の「傷害罪」や「殺人罪」で裁かれ、
捕虜となり、虐待を受けたとしても
何一つ守る法律や条約はありません。
唯一救われているとすれば、
PKOなどに参加する自衛隊は
self-defense forces と名乗っていることです。
英語表記では自衛隊は自衛軍と認識され、
普通の軍隊として認識されていますので、
実際には自衛官の方が「傷害罪」や「殺人罪」に
問われることはまずありません。
しかし、
日本が自衛隊は軍隊ではありません!
なんて言い続けていたら、
相手の胸先三寸で「傷害罪」や「殺人罪」で
裁かれても、何も言えませんし、
ましてや、
憲法に「自衛隊」なんて明記したら、
そのリスクはさらに数段高まります。
一刻も早く「自衛隊」という呼称を
「自衛軍」とするべきですし、
同時にネガティブリストである
軍法も作る必要があるんだろうと思います。
そうしないと
命を懸けてお仕事をしている自衛官の方が
あまりにも可哀そうです。
安倍さんは1月24日の衆議院本会議の質疑で
「自衛隊を憲法に明記するのは我々世代の責任だ」
と言う旨の発言をされておりました。
ニュースソース↓
https://jp.reuters.com/article/idJP2018012401001739
これは明確な間違いだと私は思います。
そもそも日本は戦力を持っても良いし、
自衛隊は自衛軍と言うべきなんだろうと思います。
もし、「自衛隊」と憲法に明記すれば、
自衛隊は軍隊か?軍隊じゃないか?という
意味のない議論が永遠と続きます。
あまりにも不毛な議論です。
そうならないためにも
憲法に「自衛隊」と明記するのは
断固反対と言わざるを得ません。
もし自衛隊を憲法に明記するなら、
「自衛軍」とするべきですし、
同時にネガティブリストの「軍法」も
速攻で作るべきなんだろうと思います。
憲法改正は必要ですが、
憲法に「自衛隊」と明記することは
憲法改悪であると言わざるを得ません。
まいどまいど、長文ごめん
おしまい。